これはなに
- LayerX伊藤(@n_11o)の、「バクラクビジネスカード」へのプロダクトフィードバックについて社内アンケートをやってみたメモです
- BizとDev協業で事業を伸ばしたい、良いものをお客様に届けたいという方はぜひお読みください
- 要は『カスタマーサクセス実行戦略』第2章-7「プロダクトフィードバックループ」の実践なので、下記の書籍もぜひご覧ください!
- CS HACK Advent Calendar 2023の執筆者一覧はこちらをご覧ください!
< Table Of Contents >
- これはなに
- はじめに
- この記事の対象者
- AI Summary
- 「機能リリースに対する社内アンケート」とは
- 自社でやろうと思った背景
- 実施にあたって変更したこと
- 実施した結果よかったこと・気づき
- 今後やっていきたいこと
- おわりに
- シェアする
- Comment
はじめに
こんにちは、すべての経済活動をデジタル化したいLayerX伊藤です。
最近は「プロダクトの提供価値と事業の伸びをアラインさせる」をミッションに、決済事業「バクラクビジネスカード」の何でもやるマンとして日々お客様や社内のDevとお話しています🤝
やっていることについてのお話はこちらをご参照ください。
また、弊社の決済事業にどんな人がいるか、自分以外の人は何をしているかなどはX(旧Twitter)のハッシュタグ「#バクラク決済事業のイマ」をご覧ください!セールスからエンジニアまでみんなでblog書いています🐤
この記事の対象者
- 自社で内製したソフトウェアを売っているB2B Sales / CS / Bizdevなどのビジネスサイド職種の方
- ビジネスサイドとして開発サイドに機能フィードバックの機会がある方
AI Summary
Notion AI先生にサマってもらった記事の要約は以下です。
「機能リリースに対する社内アンケート」とは
- 『カスタマーサクセス実行戦略』を読んだことの無い方向けに、まず同書の当該箇所を抜粋してご紹介します。素晴らしい取り組みですよね…
Sansan 社内でもう一つ有効に機能しているプロダクトフィードバックの 機構の一つに、四半期に一度、社内のビジネスサイドのメンバーに「リリー スしてよかった機能」のアンケートを取るという施策があります。 これはビジネスサイド (マーケティング、セールス、カスタマーサクセス) のメンバーに、前四半期にリリースされた機能やプロダクトを対象に行っています。
- リリースされた機能・プロダクトで「このリリースはよかった」と思うものを最大5個まで選択してください
- 「よかった」と思う理由を選択してください。
- 売上につながった
- 売上には直接つながっていないが、ユーザーや提案中の企業、 セミナー・イベントなどで顧客の反応がよかった
- 自分自身が心待ちにしていた
これによってプロダクトサイドはどの機能が顧客にサクセス・好印象をもたらしたかを (社内経由とはいえ) 定量的に取得することができます。 プロダクトサイドは顧客への接点を持たないため、通常はセールスやカスタマー サクセスへの個別ヒアリングぐらいしか、リリースした機能の評価を実感することができませんが、 この仕組みはプロダクトサイドのメンバーが、 次に作成すべき機能の参考にできるという大きなメリットを生みました。
(『カスタマーサクセス実行戦略』第2章-7 p63~「プロダクトフィードバックループ」より抜粋)
自社でやろうと思った背景
現状LayerXのバクラク事業部では、顧客の声およびそれをふまえたビジネスサイドの意見を開発に活かすために様々な取り組みがされています。
- Bizから機能要望を挙げるSlackチャンネル
- 要望棚卸し会
- 顧客へのN1ヒアリング
- NPSアンケート
- 短期/中長期のロードマップについてディスカッション
- ユーザー会(記事はこちら)
etc
正直、プロダクト開発においてBiz ↔ Devの協業は現状でもかなりできている会社だとは思うのですが、
日々顧客と接し、リリースされた機能をご説明しているビジネスサイドにとって評判が良かった機能や、
逆に開発側としては自信があったのにビジネスサイドの印象に残らなかった機能は無いのか、などを定量的に知るすべはこれまでありませんでした。
そんなときに同書の上記パートを読み、「やったこと無いしいっちょやってみるか〜😀」ということでやってみました。
LayerXには「使われないものを作らない」という原則があり、顧客への提供価値(アウトカム)にこだわっています。
ここで言う「使われない」は指標としては「各機能の利用率」であり、それももちろん計測していますが、
“顧客の利用”という観点の他に、ビジネスサイドの方々に使われているか (例. マーケであればAdの訴求軸として使われているか、セールスであればセールストークとして使われているかetc)も観点として取り入れたいなと思い、実施しました。
実施にあたって変更したこと
書籍を参考にしつつ、実施にあたっては自社の状況などもふまえて設問を変更しました。
- 「直近四半期のリリース」を「直近半年のリリース」に
- 初回ということもあり、直近四半期ではなく直近半年前にリリースした機能から覚えている機能や良かった機能を選択してもらいました。
- 四半期でも良いのですが、セールストークやマーケティング訴求に取り入れられうる粒度での大玉の機能開発は毎月バンバンと出るわけではないので、時間軸を長くしてよかったなと思います。
- 「このリリースはよかったと思うものを最大5個まで選択」を「3つ」に
- 弊社はコンパウンドスタートアップとして1人のセールスやマーケが複数の製品を担当しているので、あまり数が多いと選びにくいかなと思い「3つ選んでください」にしました。
- 「リリースした機能の認知」を設問に追加
- 書籍にはない、「直近半年でリリースされた機能で「覚えているものを選択してください」という設問を追加しました。
- 「機能の存在を知られていないが知っている人の満足度は高い機能」のあぶり出しや、社内メンバーに対する新機能リリース時のデリバリー方法改善のヒントを得たいという意図です。
- 「今後開発予定の機能に関する投票」を設問に追加
- 同じく書籍にはない、「今後開発予定の機能で「最も心待ちにしている」もの1位~3位を選択してください」という設問を追加しました。
- 意図はもちろん、新機能の優先順位のヒントにするためです。チームごとに要望が強い機能が分かれる結果となり、追加してよかったと思いました。
- 「フリーコメント」を設問に追加
- 選択肢にない今後開発して欲しい機能要望や、組織間連携などプロダクト以外の観点でのフィードバックをいただくために追加しました。
- 結果、他チームから見たカード事業部の印象や、人材交流面での伸びしろなどもヒントが得られました。
こちらが設問の一覧になります。書籍の内容をベースにしつつ、どういった結果を得たいのかを考えながらDevと相談して決めていきました。
実施した結果よかったこと・気づき
ここからは、集計結果についてはぼやかしながら社内アンケートをやって良かったことを書いていきたいと思います。
■ リリースした機能の認知や満足度、開発が待望されている機能の把握
- 書籍にも書いてあったような、「エンタープライズの顧客に向き合っているチームに評判が良かった機能」などは所属部門を取ることで実現することができました。
このようにアンケートをデザインすることで、プロダクトサイドは「既存のSMB顧客に評判が良かった機能」などを特定することができるようになるため、誰に向けて何を作れば評価が高まる傾向にあるのかを大枠で捉えることができます。
(『カスタマーサクセス実行戦略』第2章-7 p63~「プロダクトフィードバックループ」より抜粋)
- また、満足度が高い機能として投票した理由も合わせて聞いていたため
- マーケチームであれば「他社に全くない機能だから」
- サポートチームであれば「お問い合わせを数多くいただいていたから」
など各チームが機能リリースにおいて求めていることも改めて可視化することができ、Devチームの方々に「 仕様検討時に ”売りやすさ” の観点も取り入れようと思った」などの気付きも伝えることができました。
■ 社内認知率とリリース後の評判にGAPがある機能の把握
- 前述の通り書籍にはない設問として「リリースした機能の認知」も追加していたため、「認知 × 評判」という2軸で集計をし、下記のような示唆も出すことができました。
認知[低] × 評判[高]
→ 機能リリース時の社内外の告知方法やコンテンツの乏しさに問題があるのではないか認知[高] × 評判[低]
→ 機能は知っているが、顧客に便益をうまく説明できていない機能なのではないか
- 「どの粒度の機能であればプレスリリースを出すべきか? 新機能解説セミナーをリリース時に仕込むべきか?」などデリバリーの判断やリリース時の伝え方の検討については開発側が担っていないことも多いかと思いますが、回答のN数は少ないもののこういった定量的なデータがあることで今後のリリース計画に活かせるのでは、と思いました。
■ 全員〇〇、フォロワーシップの実感
- またまた羅針盤の話で恐縮ですが、LayerXには「全員〇〇」という原則のもと、主務ではない業務であっても関わる方が全員で取り組もう、というカルチャーがあります。「全員採用」などが好例です。
- アンケート依頼をする前は「皆さん忙しいしカードを直接売ってない人もいるしそんなに集まらないかな…」と思っていたのですが、蓋を開けてみるとどのチームも所属メンバーの70~80%は回答してくださり、予定していた倍以上の回答数が集まりました。
- こういった施策は企画者がいくら頑張ったとしても、お願いされる側が協力的でないと成立しません。改めて良い会社に入ったなと感じました。
今後やっていきたいこと
普段聞けているようで聞けていない「売る側の声や考え」「開発側の想定とのGAP」を知るという意味で、とても有意義な取り組みでした。
一方で、この施策については「より良い機能開発をする」うえでのイチ手段でしかないので、今後も色々な方法にトライしていきたいと思っています 💪
特に、本アンケートも含めいま実施している取り組みは「すでに契約 or 商談しているお客様の声」がベースとなっているので、個人的には「現在まったくリーチできていない属性」の声などをもっと拾っていきたいなと思っています。手法としてはアウトバウンドプロダクトマネジメント(OPM)がイメージに近いです。
おわりに
完全に備忘録な内容になってしまいましたが、ビジネスサイドとしてプロダクト開発に携わっていきたい方などに少しでも参考になっていましたら幸いです。
また、本件の取り組み以外も含め『カスタマーサクセス実行戦略』はとても参考になったので、CS以外の職種の方もぜひ読んでみてください!
それでは少し早いですがみなさん良いクリスマス、良いお年を 🎄🎅🎍🌅
LayerXの決済事業に興味がある方は僕のTwitterや下記Open Doorよりぜひご連絡ください!