これはなに
- LayerX伊藤(@n_11o)の、HubSpot利用Tipsです
- 自分が躓いたHubSpotの仕様や設定に関して、備忘録的に書いております!
< Table Of Contents >
- これはなに
- はじめに
- 前提: LayerXで利用しているCRMとSFA
- 最初に理解しておくべきこと
- 1/ オブジェクトを理解する
- 2/ 各オブジェクトの既定プロパティを理解する
- 3/ 流入元の定義を理解する
- 仕様のトラップとニッチなTips
- おわりに
- シェアする
- Comment
はじめに
こんにちは、すべての経済活動をデジタル化したいLayerX伊藤です。
最近はもっぱらMarketing Opsおじさんをやっています。趣味は名寄せです。
LayerXの行動指針 ”Bet Technology”に関する発信をする#LXベッテク月間ということで、マーケまわりのベッテク、HubSpotのTipsを書いていこうと思います。
先にディスクレーマーですが、HubSpotを現在自社で利用されている方を前提に書いてしまっておりますので、他のCRMを使っている方におきましては「こんなことやってるんだ〜」「ここが大変なんだな〜」というのをぼやっと感じていただければ幸いです 🙃
ちなみに昨日のCSチームsuuuさん(@suuu)の記事もSalesforce / HubSpotに関するお話なので、ぜひご覧ください!
前提: LayerXで利用しているCRMとSFA
- LayerXバクラク事業部では、2022年7月現在 下記のツールスタックで運用しています。
- CRM: HubSpot
- SFA: Salesforce
- 導入の経緯や「なんでHubSpot使ってるねん」という点については、事業部長のmakiさん(@35_mki)やInside SalesのMJさん(@MJ_LayerX)が昨年に書いた記事をご覧ください!
- 自分も「HubSpotさいこ〜🤘🏻」と「ここの仕様マジでどうにかならんのかいな😠💢」という愛憎入り混じった感情を抱きながら日々利用しています。
最初に理解しておくべきこと
こまごましたTipsに入る前に、HubSpotを触る際に、まずこれは抑えとこう的なやつをメモしておきます。
当たり前体操感あるので、もう知ってるぜという方はスキップしてください 🤸♂️
1/ オブジェクトを理解する
HubSpotに限らずSalesforceやMarketoなどCRM/SFA全般でおおよそ共通かと思いますが、「オブジェクト」はHubSpotを利用するうえでまず抑えておかなければいけない考え方です。
オブジェクト:ビジネスのさまざまなタイプの関係とプロセスを表します。すべてのHubSpotアカウントは、取引先責任者(コンタクト)、会社、取引、チケットの4つの標準オブジェクトを使用します。HubSpotサブスクリプションに応じて、通話、会話、支払い、製品、見積、 カスタムオブジェクトなどの他のオブジェクトがあります。 (公式Doc「CRMデータベースを管理する」より抜粋)
HubSpotではリードのことを”コンタクト”、商談のことを”取引”と呼びます。(あってるよね、たぶん…)
マーケチームだともっぱら利用するのはコンタクトオブジェクト、商談や成約までを追いかける際に取引オブジェクトや会社オブジェクトを利用することになるかと思いますが、
重要なのは各オブジェクトによってデフォルトで保持するプロパティ(規定プロパティ)が異なることと、オブジェクト間の関係は1:n
またはn:n
になっているということです。
これを頭にいれておかないと、
- 「商談レポートで流入元別に商談数の内訳見たいけど流入元の内訳が見れない… 🥺」 (コンタクトオブジェクトで作ったカスタムプロパティを取引オブジェクトにもSyncさせないとダメ)
- 「商談後の受注角度をリード獲得した流入元別に見たいけどコンタクトのレポートから作れない… 🥺」 (取引オブジェクトには入っているパイプラインのデータをコンタクトオブジェクトにもSyncさせないとダメ)
- 「マーケで見てるHubSpotのレポートだと今週の商談獲得50件だけど、セールスのレポートだと今週40件しか無い… 🤔」 (商談”獲得日”と商談”実施日”は記録されるタイミングが違うのでズレるの当たり前)
などのような、オブジェクトを横断したレポート作成で不可能ケースがある理由や、集計のズレが生まれる理由が理解できなくなってしまいます。
2/ 各オブジェクトの既定プロパティを理解する
お次はプロパティです。
プロパティは自分で作ることもできますが、HubSpotはリードの新規・再CV / サイト訪問 / メール・Adへのインタラクション etc や商談発生時に自動で付与される「既定のプロパティ」というものがあるので、
まずは「リードや商談が発生したときに、どういうルールベースで何のプロパティが新規付与 or 更新されるんだろう?」というのを知るために、既定のプロパティに関する公式ドキュメントを穴が開くほど読み込むのをおすすめします 👁️🗨️
(それぞれ結構な数あるのですべて覚える必要は全くないです)
既定のプロパティが理解できると、
- 「〇〇について集計したいけど既定プロパティだけじゃ無理やん😇」
- 「なんでこのデータもデフォルトで取得してないの😦」
- 「このプロパティも自動で上書きしちゃう仕様なんかい🥲」
といった仕様disカスタマイズの余地が山程でてくるかと思いますので、独自のカスタムプロパティを作成する必要ありです。
既定プロパティとカスタムプロパティを組み合わせながら、マーケだと下図あたりのプロパティをメインにしつつ「役職」「業界」「Tier」「ナーチャメールへの反応有無」など様々なプロパティを使ってリードや商談の分析をしていくことになるかと思います。
3/ 流入元の定義を理解する
最後に、 コンタクト(リード)関連の既定プロパティのなかでも、マーケティング部門なら特に理解しておかなければならない流入元まわりに関するプロパティです。 HubSpotだと、Original Source / Latest Source という規定プロパティが用意されています。
UTMパラメータをもとに「このパラメータが入っていたら検索経由ね👉🔍 」「これはメール経由ね👉📧」と分類する基本思想はGAのデフォルトチャネルグルーピングと同じなのですが、
HubSpotの振り分けの仕様がゴーイングマイウェイなので、GAや広告運用でのパラメータ管理に慣れている方ほど「クセがすごいんじゃ〜」とツッコミたくなること請け合いです。
HubSpot社のマーケチームでも絶対GA使ってるはずだろうに、Googleの決めた仕様には従わず、あえて別の振り分けルールを制定するHubSpotさん、カッコいいですね。「俺たちこそがスタンダードだ!」という矜恃が垣間見えます。
- オリジナルソースおよび最新ソースのプロパティーについて
- トラフィック アナリティクス ツールのトラフィックソースについて
- ぜひGoogle Analyticsの「デフォルト チャネルの定義」と比べて見てください
- HubSpotでの広告のトラッキング
逆に言うと、クセの強い振り分けルールさえ理解してしまえば、それを逆手に取ることで既定のプロパティでは分類できない流入元のデータも取得することができます。
例えば、HubSpotがオフィシャルに連携をサポートしている広告媒体はGoogle / Facebook / LinkedInの3つのみですが、
Yahoo!の検索広告(YSS)に関しても広告側のトラッキングパラメータ設定をハックすることで、通常は取得できないクエリ別のリード獲得データなどが取得できるようになります。
(下記、自分のHubSpotコミュニティの回答)
また、上記のようなハック含め、リード獲得のCVが自社サイト(≒ HubSpotフォーム)経由であれば良いですが、実際のB2Bマーケ業務だと
- BOXIL、ITトレンドなど比較サイト
- 展示会
- 他社主催カンファレンスのスポンサー
などフォームを通過せずに獲得するリードや商談も多く存在するため、それらはcsvインポート時に手動でプロパティを付与することになります。
非フォーム経由も含めたリード管理に関しては他社さんも苦労されているところが多い印象です 🥲 やはり最後はオペレーショナル・エクセレンス。根気強いデータクレンジングやワークフローの活用、関係するメンバーの入力徹底、を頑張りましょう。
心を鬼にして「ちゃんと入力してね」言い続けるのです…👹 Garbage in, garbage out. 🗑️
仕様のトラップとニッチなTips
ここからは、HubSpotの設計や運用で引っかかったところや調べてわかったところを覚えている範囲でつらつら書いてみます。
- 日付に関する既定プロパティは”乏しい”(ので自分で作る)
- 他のCRMでもあるある課題かと思いますが、レポートで現時点でのスナップショットの数字は追えても過去の「ある時点」での数字はわからないことが往々にしてあります。
- 代表的なものだと、商談作成日に関しては
First deal created date
という初回商談を記録するための既定プロパティがありますが、 - MQLに関しては
Became a marketing qualified lead date
という「mqlになった”最新の日付”を記録する」というプロパティしか用意されていない & リードに戻ると日付はクリアされるため - このケースを回避するために、
First mql created date
のようなカスタムプロパティを用意し、最初にmql転換した日を記録して日付クリアや上書きされないようにするという設定が大事です - この仕様が理解できると、色々なkpiの日次トラッキングに応用が効きます。直近自社だと「ナーチャメールをunsubscribeしたリードの数」などを配信解除日のカスタムプロパティを作成し追い始めたりしています
①2022/7/1にMQLになった (ライフサイクルステージ: Lead -> MQL)
↓
②2022/7/8に商談獲得した (ライフサイクルステージ: MQL -> 商談)
↓
③2022/7/10に商談したが、失注した (ライフサイクルステージ: 商談 -> (Recycle)Lead)
というケースの場合、「当月のMQL数」という数字に上記のヒトは含まれないことになってしまいます。困るマーケ担当者多そうですよね ☹️ (ちなみに失注後のライフサイクルステージ変更は仕様ではなく弊社独自の設定なので困っていない方もいるかも)
- ライフサイクルステージすっ飛ばしリードに注意する
- HubSpotのデフォルトの仕様で、会社オブジェクトとコンタクトオブジェクトのライフサイクルステージを同期するというものがあります 🚛
- つまり、下記のようにある会社に関して別の商談が紐付いていたら、明らかなMQLであってもMQLステータスを経由せずに商談になってしまうのです。
- このあたりの扱いは会社によって方針は違うかと思いますが、商材が沢山ある企業のマーケ担当者は困っているのではないかと思います 🥲
① 2022/5/1にLX商事のAさんからバクラク請求書について問い合わせいただき商談
(コンタクトのライフサイクルステージ: Lead -> MQL -> 商談)
↓
(上記の同期機能により、会社オブジェクトのライフサイクルステージもLead -> 商談に)
↓
② 2022/6/1にLX商事のBさんからバクラク経費精算について問い合わせいただき商談
(コンタクトのライフサイクルステージ: Lead -> 商談)
- 広告のトラッキング設定について
- 前述の通りHubSpotが連携をサポートしている広告媒体はGoogle / Facebook / LinkedInの3つですが、媒体とHubSpotの連携も初期設定にトラッキングテンプレートへの理解が必要だったりします
- 結論、HubSpotとの連携設定を追えたGやFに関しては、広告媒体側でのパラメータの設定は不要です。連携さえちゃんとしていればHubSpot → FB / Googleに
utm_source
やutm_medium
は付与されます - 前述のYahoo!広告のトラッキングはこの設定を応用したものになります
- また注意点として、キャンペーン名を変えたり元のキャンペーンや広告セットを複製して別の広告を配信する場合、一度パラメータを空にしないと元のキャンペーン名が残り続けてしまうので、運用の際は気をつけましょう
- FB広告のトラッキング制限に関して
- カルーセル形式を使用する広告はトラッキングできません。
1.91:1
はサイズ的にトラッキングできません。縦長に恨みでもあるんか…
広告キャンペーンの名前を編集しても、HubSpotのトラッキングテンプレートの[utm_campaign]の値は自動的に更新されません。広告はHubSpotによって引き続き追跡されますが、他のシステムの[utm_campaign]パラメーターに依存している場合には広告URLの更新が必要になることがあります。新しい広告キャンペーン名に一致するようにURLを更新するには、次のいずれかの手順に従います。
- Google広告のトラッキング制限に関して
- YouTube広告はトラッキングできません。
- Original Sourceに記録される広告のキャンペーンについて
- 広告経由でCVしたときにHubSpotに記録されるキャンペーン名は直前のclickではなく「同Cookie内にて最初にクリックした広告のキャンペーン名」という仕様なので、
- なのでAd管理画面のCV(last clickにCV成果がつく)とHS側のCV(first clickにCV成果がつく)の集計は必ずズレる。うーむ…🤔
①2022/3/1にセミナーキャンペーンの広告クリック -> CVせず離脱
↓
②2022/6/1にホワイトペーパーキャンペーンの広告クリック -> CV
の場合、フォームのCVとしては勿論②のホワイトペーパー資料DLになるが、CVしたリード情報に記録されるキャンペーン名は①のセミナーになってしまう
- 広告やGTMとフォーム名に命名規則をもたせる
- もはやHubSpotというより運用のTipsですが、取り扱うプロダクトやコンバージョンポイントが多い(≒ 管理するHubSpot Formが多い)方は広告側、Googleタグマネージャー、HubSpotそれぞれの命名規則を絶対に揃えておいたほうがいいです。
- 弊社はプロダクトすでに4つ、ホワイトペーパーやセミナーもいっぱいあるので整っていても油断するとすぐカオスになります 😇 中長期的にはAdminを専任で置きたい…
- 競合企業や営業目的の企業のForm入力をブロックする
- 競合企業さんがリサーチ目的で自社の資料DLしたり、何度無視してもお問い合わせフォームに来る営業メール、ありますよね?
- メールのドメインや会社名を条件指定して競合リスト作成 → 当該リストに含まれるリードには資料送付しない、という設定がポピュラーな(?)対策かと思いますが、
- Emailのプロパティにコンバージョンを阻止したいドメインを直接入力することでフォーム入力自体を防ぐことができます。
- つらみとしては、リストでの設定と異なり自社で公開している全てのフォームに設定が必要なので、フォームの新規作成オペレーションを徹底しないと設定の抜け漏れがおきます 🥲
HubSpot公式ドキュメント
- ダッシュボードにデータポータルを埋め込む
- HubSpotだと見れないAdの管理画面の詳細データやサチコのデータなどもHubSpotのダッシュボードでまとめて見たいぜってケース、ありますよね?
- HubSpotのダッシュボードには、Googleデータポータル埋め込めます。編集は無理ですが、フィルタは勿論可能。
- IP CITYやREGIONで獲得したリードの地域を見る
- 東海エリアだけでCMやってみたし、地域別のリード獲得状況とか見たいな〜 みたいなとき、あるかもしれません。
- FORCASやuSonarなどのSaaSのように業界、企業規模etcは取れませんが、単純に都道府県別などでリード / 商談獲得の内訳を見たい場合は、IP CITYやREGIONの既定プロパティでレポートを作れば十分です 🗾
- タイムスタンプをunixから普通の日付型に変換する
- いったんCSV吐き出してスプシで色々分析しよ〜というケース、レポート機能がそこまで強くないHubSpotでは往々にしてあるかと思います。
- CSVエクスポートすると日付型のプロパティはすべてUNIXタイムスタンプになってしまうので、
=A1/1000/60/60/24 + DATE(1970,1,1)
みたく変換しましょう。 - わりと最近出たOperations Hubではデータ型の変換や別SaaSへの転送がより柔軟にできるそうですので、お金に余裕がある方はぜひクロスセルをば。商売上手だな〜
- 他にも金額に関するプロパティがString型で吐き出されたりと、「マジか😇」みたいなのがちょくちょくあります。
- Eメール送信ドメインを接続する
- メールのドメイン認証、やっておかないと送ったメールが迷惑メールに振り分けられてしまう可能性が高まるので、最初にやっておきましょう。
- メール配信はこれ以外にもやっておくべき設定多いので、別途記事にするかもです
おわりに
マーケ部門がHubSpotを使う際の基本概念や「これ先に設定しとけばヨカッタ…」という点についてあれこれ書いてみました。またTipsを思い出したらちょくちょく足していくつもりです🙏
ゆうて自分もHubSpot触りはじめて半年ほどのひよっこなので、
「自分はこんなやり方してるよ〜」
「こんな便利機能もあるで〜」
という方は、MeetyやTwitterでぜひお話しましょう! CRM以外だと予算管理まわりとかが知りたいです。
Twitterでは今回載せきれなかった仕様のつらみについても日頃やいのやいの言っております🦀
明日はAI-OCRチームからgiwaさん(@shun_tak)の記事です!