このnoteは、ブログやnoteをリレー形式で発信するLayerXでの企画【#日めくりLayerX】の一環で、2025年12月3日の当番で書いています。
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はじめに
こんにちは、すべての経済活動をデジタル化したいLayerX伊藤(@n_11o)です。12月といえばアドカレの季節ということで、【#日めくりLayerX】というブログリレー企画で記事を書かせていただきます。
LayerXには4年ほど前にマーケティング職で入社したのですが、気づけば決済事業で働いている期間のほうが長くなりました。最近の休日は、妻とストレンジャー・シングスを一気観しています。
今回は、自分が携わっているバクラク決済事業の経験をもとに、Fintechビジネスの事業開発における面白さ・難しさについて書いてみたいと思います。(※「Fintech」とは言いつつ弊社の領域である法人間決済をスコープとした記述になっているのと、私の立場から見たものではあるので、その点はご留意ください。)
また、「そもそもB2B決済市場って伸びてるの?」「バクラクの決済事業部ってどういう組織?」などは下記noteにまとめていますので、あわせてご覧ください。
パートナーありきの事業であること
「事業を行ううえで社外のパートナー企業との協業が不可欠であること」
個人的には、ここが「自社で製品開発し、売る」というSaaSをはじめとしたソフトウェア事業とFintech事業が決定的に異なり、BizDev職としての面白さと難しさが詰まっている部分だと思います。
もちろんSaaSであっても例えば「インフラとしてAWS / GCPなどの外部サービスを使っている」とか「売上の多くが間販(パートナー販売)経由であり、パートナー企業なくしては自社サービスの成長はない」など、製品開発や運営を完全に内製でやっていることは無いと思いますが、
Fintechは例えば法人カード事業であれば
- 「自社だけではブランド(Visa、Master、JCB等)のライセンスを取得できない = クレカ発行ができない」 → BINスポンサーの選定、交渉
- 「自社だけで事業運営に必要な規模の運転資金を確保することが極めて難しい」 → 金融機関の選定、交渉
など、パートナー企業の協力がなければそもそも事業を開始することさえできません。
下記は経産省が出しているクレジットカードの一般的なコスト構造ですが、こうした社内外の複数のステークホルダーと調整・交渉を行いながら事業を創り、前に進めていくという経験は、BizDevとしてかなり刺激的です。(そして、とっても楽しいです!)
基本は薄利多売。だからこそスキームが肝
SaaSビジネスは、売上もコストも構成要素が各社ほとんど変わらないのが良いところだと思います。
だからこそ、Comps(類似企業分析)において財務会計側だけではなく管理会計側の指標(CAC, NRR, ACV etc…)も国内/グローバルともにベンチマークがあり、「この指標がこの水準であれば優秀」という共通認識を社外であっても推察しやすい。
一方で、Fintechビジネスは顧客に対して提供しているサービスは外から見ると同じように見えても、企業ごとにスキームおよび構成要素がまったく異なっているということがしばしばあります。
例えば法人向けクレカ市場をひとつとっても、表向きには同じ「法人カード」と謳っていても「クレジット」なのか「プリペイド」なのかはたまた「デビット」なのかで全く違いますし、
同じ「クレジットカード」という商品であっても国際ブランドやBINスポンサー、金融機関、保険会社などイシュイング事業を行ううえで協業している各パートナー企業との契約・経済条件によってコスト構造が全く変わってきます。
特にクレジットカード事業含めFintech事業は基本的には薄利多売です。0.001%の利率で大きく売上や利益が変わるビジネスなので、上図のようなベースのスキームはありつつ、「事業を開始するうえでどのパートナー企業様と組み、双方に利がある条件で合意形成できるか?」 また、「事業の開始後も定期的にパートナー企業様と条件の見直し・交渉ができるか?」がとても大事になってきます。
スタートアップがイシュア(カード発行会社)になるための概要はスマートバンク代表の堀井さんがとてもわかりやすくまとめているので、ぜひ読んでみてください。
「PL責任」+「BS責任」
「PLに責任を負っています」という事業責任者の方や、若手の方で「将来はPL責任を持ちたいです」というお話はしばしば聞くかと思います。
FintechビジネスはPLに加えて、BSやキャッシュフローも考慮しなければいけないというのが特徴です。(※もちろん経営レイヤーであればどんなビジネスであってもPL/BS/CFすべて気にすると思いますが、Fintechでは担当者レベルであってもビジネススキームやストラクチャを検討する上でBSやキャッシュフローも検討スコープに含まれるという意味合いです)
弊社のようなクレジットカード事業であれば「与信枠」という形でお客様にクレカ決済できる枠を何百、何千億とお出ししていますし、お客様にご利用いただいた金額は後払いです。
「これだけの規模の金額をどう立て替えるか?」「入金と支払いのタイミングや頻度をどうコントロールするか?」「万一貸倒が起こってしまった場合にどう対処するか?」といった論点が常に生まれ、検討する必要があります。
また、こういった事業の性質上「元手となる資金をいかに好条件で調達するか」がとても重要であり、上述したようなパートナー様とのタフな交渉やスキームを詳細まで詰めることが業務上求められます。これもSaaSのバックグラウンドが長い自分にとっては未経験で、今も日々学んでいるところです。
Fintech事業のBSの重要性についてはカンム代表の八巻さんがとてもわかりやすくまとめているので、ぜひ読んでみてください。
Finance, Legal, Risk, Opsなど多様な観点の獲得
ここまでに記載したような事業開始・運営上の特徴があるため、Fintech事業のBizDevはSaaSをはじめとしたソフトウェアサービスのBizDevではあまりないような業務、イシューに取り組むことになります。
例えば
- 自社の法務部門と貸金業法, 資金移動業といった法律と国際ブランドのレギュレーションを交互ににらめっこしながら新規サービスの規約をゼロから作ったり
- 自社の経理部門と新規事業のお金の流れについて、キャッシュフローや会計処理・税務処理の観点で最適なオペレーションを設計したり
- 自社のリスクコンプラ部門と全世界的なクレジットカードの不正利用の増加を受けて横断で対策チームを作ったり
- 日本を代表するインターネット企業や金融機関の決済事業の方々と協業可能性についてディスカッションしたり
etc, etc。
売上のトップラインを伸ばすグロースはもちろんのこと、ファイナンス、リーガル、リスク、オペレーション、プロダクトといった、事業家人材にとって必要な、複合的な事業を捉える力が磨けるポジションだなと感じます。
さらに弊社LayerXはAIにオールインのAIカンパニーであり、「バクラクビジネスカード」はFintechとしては言わずもがなですが、SaaSとしての側面も備えた法人カードプロダクトです。
こうした「SaaS+AI+Fintech」すべてを兼ね備え、挑戦できる環境は他に無いのではと思っています。自分は今とても楽しいですし、「SaaSは好きだけど、次はSaaS以外の事業にも挑戦したい」という方や、「トップラインを伸ばすというところでは実績を出してきたので、それ以外の筋肉もつけたい」という方はとてもおすすめです。
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おわりに
自分自身まだまだひよっこなのですが、Fintech事業のBizDev職の特徴や面白さについて書いてみました。
興味がある方はX(旧Twitter)や下記OpenDoorよりぜひご連絡ください。
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